美貌録

美容、装い、読書、映画など、心と身体を動かし轟くものを集めて、束ねて書くchisa/千祥のブログ・ディレクトリー。

安井かずみの愛に30年後に気づいた男

沢田研二の話である。

 

YouTubeがきっかけで沢田研二沼にずぶずぶなわけである。先日も、YouTubeにアップされた73年ごろのラジオ番組を聞いていた。ゲストは加瀬邦彦と安井かずみであった。加瀬は当時、沢田研二のプロデューサーとして活躍していたし、安井かずみも沢田研二の初期の楽曲の作詞を担当していた。「危険なふたり」とか「追憶」などが有名だ。

 

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「危険なふたり」の歌詞の内容などから、安井かずみは、沢田研二を本当に好きだったというのが定説であるが、私はそれはどうかな?と懐疑的である。ジュリーが彼氏だったらいいな、という密な願望はあっただろうが、本心からではないように思う。なぜなら、彼はザ・ピーナッツの伊藤エミと7年間の交際ののち結婚しており、安井も二人が付き合っているのは知っていたはずだからだ。とはいえ、安井が彼に魅了されていたことは確かだと思う。

 

そのラジオ番組の中で安井は、あらゆるジャンルの曲を聴き、たくさんの歌手の作詞を手掛けるが、その結晶をすべてジュリーの曲の時に出そうと思っていると発言し、沢田や加瀬にからかわれている。18分あたりを聞いてね。

 

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雑誌のインタビューなどでも安井は「(沢田研二の楽曲に作詞は)世界に出しても恥ずかしくないものを書いている」と言っている。

 

そして沢田が60歳になったとき。

 

NHKFMで「ジュリー三昧」というラジオ番組が放送された。タイガース時代から60歳に至るまで、アルバムの時系列にそって自身の活動を語るという内容のものだった。

 

「追憶」について、気が付いたことがあると言う。若かった当時、本も読まなかったし、お芝居のことも知らなかったけど「追憶」の中に出てくる女性の名前、ニーナとは、チェーホフの「かもめ」に出てくるニーナのことだったのかな?と。

 

そうだよ。ジュリー。

 

安井かずみは「世界に出しても恥ずかしくないものを書いている」って言ってたんだよ…… 「危険なふたり」が自分の願望と、伊藤エミとの関係からのアテガキなら、「追憶」は安井がチャレンジした文芸をモチーフにしたものだった。

 

文芸モチーフの楽曲といえば、日本でいえば「お富さん」(笑)。洋楽でいえばケイト・ブッシュの「嵐が丘」があるが、「追憶」もそのジャンルだったのだとしたら。そしてケイト・ブッシュよりも数年早い。恐るべし安井かずみ。

 

齢60歳にして、安井かずみの本気を知ることになるなんてね。愛って色々な形があるな。

 

アテガキといえば、1997年にリリースされた「女神」もそうかもしれない。こちらの作詞は阿久悠。なんとなく田中裕子との不倫の頃を彷彿とさせる。ジュテーーームって絶叫と喘ぎ声が凄い。18禁。

 

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