美貌録

美容、装い、読書、映画など、心と身体を動かし轟くものを集めて、束ねて書くchisa/千祥のブログ・ディレクトリー。

70年代の沢田研二には若いツバメがよく似合う

特別お題「わたしの推し

 

沢田研二の話である。

 

安井かずみが沢田研二を推しまくっていたのは有名で、結構マジで好きだったというのも定説であるが、それは安井が作詞した「危険なふたり」(1973年)の影響が大きいのだと推測する。♪年上のひと美しぃぃすぎるぅ♪と甘くシャウトする沢田。これをもってして、年上キラー=若いツバメという、イメージが決定的になったのではないか。実際、75年に7歳年上の伊藤エミ夫人と結婚したしね。

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話は変わるが、私は75年に海外進出した沢田の楽曲、特にフランス進出の際に作られた楽曲がどれも素晴らしくて大好きである。沢田の持ち歌をフランス語に訳して歌わせるのではなく、全曲フランス人の作曲家/作詞家、アレンジャーを起用して制作しそれが成功。フランスでのデビュー曲「Mon Amour Je Viens Du Bout Du Monde(邦題:巴里にひとり)」は、フランスのチャート4位まで食い込んだ。沢田のプロデューサー、加瀬邦彦の慧眼である。

 

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沢田の甘い歌声とフランス語の響きが非常にマッチして、この曲大好きはあと、である。しかし、このフランスのテレビ局の撮影なんなん?なんでこんな舞台裏で歌わせつづけるんだろうか……

 

フランスでの成功の原因は、フランス側のスタッフが沢田の持つ若さの危うさと甘さをよく理解していたことに尽きる。フランス語版の曲は、甘めのフレンチポップスの域を出ていないのであるが、ほんっと捨て曲がなく、どれも良いのだ。

 

私の最も推しの曲は、77年にシングルカットされた「Rock'n roll Child」のB面に入った曲「Bell Dame Douce Dame」である。これはフランス味付けのグラムロック風楽曲だ。

 

なにがいいって、乗っけから沢田の「あぁは…」と吐息交じりの声!そして曲のインターバルに「どうか…教えてほしい…なぜ…こんなにも長い間…あなたに心を奪われてきたのかを…」というくっさいセリフ!もう他の歌手だったら噴飯ものろうが、沢田だとOK!オケ!グッジョブなのである。

 

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私はフランス語はまったくわからないが、タイトルから推察すると、おそらくキーツの詩「La Belle Dame Sans Merci(美しいけれど無慈悲な貴婦人)」から着想を得ているのだと思う。

 

これは安井かずみの「追憶」がチェーホフの「かもめ」から着想を得ているのと張っているのかも?とも思うし、それとはまた別に、美しい年上のレディに恋焦がれる若者、という図式が沢田には似合う、と思ったからできたのか。真偽のほどはようわからんが、やっぱり沢田研二には、年上の女性を迷わせる、若いツバメの雰囲気がある。そういえばTVドラマ「悪魔のようなあいつ」でも年上マダムの心を揺さぶってたもんな。この年上マダム役宝塚出身のスター、那智わたるを篭絡してたもんなー。また那智わたるが素敵なマダムなんだこれが。

 

 

第1回

第1回

  • 沢田研二
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良い時代です。オンデマンドで見れます。毎回ジュリーの裸が拝めます。

 

 

で、この「Bell Dame Douce Dame」の世界観を如実に表現していたのがこれ。

 

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シャンソン歌手の岸洋子さまとデュエットだ。これだ。これだよ。年上のお姉さまと甘くデュエット。この曲の世界観を正しく伝えているよ。ドレスアップした岸洋子お姉さまとざっくりセーターかなんか着て寄り添う沢田!もう!計算ずくじゃねえのか?ジュリー、そういうとこだぞ!

 

貴婦人にかしづく若いツバメ。70年代の沢田研二には、このフランス文学的な雰囲気がよく似合うのである。