話題の Netflix「全裸監督」。
8月8日から公開ということで、さっそくこの週末にいっき見してみた。シーズン1と言っているので、今後人気が出ればシーズン2、3と続くのかもしれぬ。シーズン1は全8話で構成。1話あたりのボリュームは大体50分くらいあり、オープニングなどをすっとばしても、結構長い。
https://www.netflix.com/title/80239462
https://www.youtube.com/watch?v=Zrpyy-hBOKI&feature=youtu.be
AV監督として名をはせた村西とおるとその周辺が、ビニ本販売で大成功したのち、ジェットコースターのような浮き沈みを経験しつつ、黒木香という逸材との出会い、そして「SMっぽいの」で一世を風靡するまでが描かれている。実話の流れに乗っ取りながら、フィクションを絡ませて膨らませている。
ちょいとネタバレをはさみつつ、まずは注意事項www
第1話からかなり過激な濡れ場がふんだんにあり、家族で団らんしながら見るとちょいちょい焦る。焦るレベルの濡れ場と言ってよい。どうやら濡れ場を演じるのは本職のAV女優さんたちのようで、かなりの迫力なのである。よって、ひとりでゆっくり見るのをすすめたいw
村西がエロに覚醒するあたりの流れがね。
第1話は、完全ノルマ制の英会話教材のセールスマンの山田孝之演じる村西が、エロを商売にして成りあがっていく様が描かれている。村西はうだつがあがらず、この調子が続けばクビ、と宣告される。トップセールスマンの板尾創路にセールスの極意を学び、売り上げを伸ばし、ぶっちぎりの成績をたたき出すようになるのだが、このとき板尾から学んだのは、ものを売りつける相手を褒めちぎる、褒め倒すこと。これがのちの「ナイスですね」などの丁寧語を駆使しながらハメ撮りするというスタイルに繋がるのである。
その後、チンピラ兄さんの満島真之介と知り合い、ラブホテルの隠し撮り販売から、ビニ本販売、ビニ本制作を一手に手掛ける北大神田書店グループを北海道全域に展開するようになるまでが第1話。
妻の浮気発覚、離婚を経て、精神的に落ち込んでいた村西が、エロは金になるということを満島真之介から知り、そこから覚悟をもって裏街道をひた走っていく。ただ、このあたりが非常に早急。おいおい、随分急に腹をくくっちゃったねーという印象。第1話までで、北大神田書店の大成功まで行ってしまうので、これをサクサク進むというのか、駆け足しすぎ、なのかは微妙。
しかし、第1話でそこまで進んでしまうので、その後の展開は結構しっかり見せてくれる。というか、パクられてのち東京でサファイア映像(実際はクリスタル映像)を立ち上げてAV制作に精を出したり、ハワイでAV撮影して逮捕され、懲役370年を言い渡されたりと、このあたりの話が面白いわけで、第1話をスピーディーにすっ飛ばさないと、面白いところをたっぷり描けないという事情もあるかもしれぬ。
黒木香を演じた森田望智が「ナイスですね」
村西を演じる山田孝之は、村西の強烈なキャラクターに飲み込まれずに「村西」を演じていてよい。玉山鉄二も満島真之介も針が振り切れんばかりの熱演。しかし、今回は黒木香を演じた森田望智が格別だったと思う。母から抑圧されながら育った黒木が、呪縛に気づき、そして自らを肯定、解放するために、村西の制作するAVに出演し、変貌していくまでがしっかりと描かれている。ここが本当にキモで、ここを丁寧に描かないと、ただ性的に解放されたい奔放で変な女性、キワモノということになってしまう。森田は、黒木の話し方や所作のマネ、わき毛も見せているのだが、キワモノにはみえず、黒木という女性がどんな傷や孤独を抱え、村西と出会ったことで癒され、昇華させていくという流れを見せてくれたことで、女性として納得できた。そして森田、濡れ場のはっちゃけぶりもすごい。頑張ったねえ、とおばさん言いたいくらい、健気に濡れ場を演じている。
シーズン2があれば、村西と黒木の関係の変化や、AVの衰退、倒産とか、そのあたりが描かれていくのだろう。キワモノとして消費され、でも相当にクレバーな人であることをうかがわせていた黒木香という女性が、芸能界を去っていくことになるまでの理由は、伝わってきていない。そのあたりを「全裸監督」がどのように描くのか。見てみたい。